棚田の杉林

  棚田の杉林

 この風景の説明をしようとすれば長い日本の林業の歴史をひもとかねばなりません。

 第二次世界大戦ののち、新しい時代を構築するのと歩みを一つに、建築ラッシュがはじまりました。
木材の需要が増え、山林地主は一気に豊かになりました。
ですから家の裏の里山に、さらに山間では谷沿いの狭い棚田にも植林が進みました。

 ところがその後安価な外国産木材の輸入が始まったため、木材の価格が暴落。
今では木を切り出して販売しても、そのための労賃と切った跡の山に新たに植える苗木代を入れると赤字になる、といわれます。

 この杉の植林は、まだ手入れがきれいにされていますが、放任された山林の方が多くなってきています。

日本は自然の、自然そのものの回復力がとても強い。
その自然と折り合って、制御しつつ、搾取しすぎることなく、穏やかな経済活動に結びつけていくのがかっての山のくらしとその智恵でした。
あふれるほどの緑の山を持ちながら、それを資源と呼べないことに複雑な思いをいだきます。

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