8 風景とくらしと食文化という宝物  つわぶき(愛媛県)

 『つわぶき』のある日振島は宇和島沖に浮かぶ離島で船便は1日3便のみ。と聞くと、一瞬不自由そうな印象を受けますが、一度訪れるとその魅力のとりこになります。

日振島は釣りのスポットでもあり『つわぶき』には島での釣りを楽しみたいお客様も多く来られるそうです。 民宿に一歩足を踏み入れると、お香の香りが出迎えてくれました。

 私がお泊まりしたときは冬、ツワブキの鮮やかな黄色の花とつやのある濃緑色の葉の生け花が迎えてくれました。お部屋は趣味の良い骨董がさりげなく飾られています。環境に配慮したせっけんとせっけんシャンプー。海のお宿は海を大切にしているのだなぁと納得。

お食事は、宿のおとうさんが釣ってきたお魚とおかあさんが育てたお野菜です。お料理にも細やかな気遣いがあふれています。

おかあさんが勧めてくれた散歩でその日は風にちぎれ雲が流れる寒い日でしたが、夕陽の時刻に風が止んで素晴らしい夕日を堪能しました。聞くところによると島影を照らす中秋の名月を小高い場所で眺めるという楽しみもあるとか。島巡りをしたい方には案内もしてくださるそうです。島の案内を聞きながら、民宿のおとうさんが語る島や漁業の歴史のお話にしみじみ感動しました。

 一日3便の船便なので、泊まった翌日何か体験をすると帰りの便はお昼過ぎになります。そういう時、希望をすれば昼食も『つわぶき』さんで用意していただけます。

私がいただいた昼食は、前夜の晩ご飯や朝食とはまた違う昔から漁村に伝わる伝統料理でした。この「昼食も含めた満喫コース」はイチオシです!

あっという間に帰りの船の時刻。お二人で港まで見送ってくださいました。今度は夏、絶対また来ようと思いつつ、お二人に手を振り続けました。

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